ポムレー路地の鰐男 [books]
7月14日(フランス革命記念日)、ナント市の上空に気球が浮游している。クレビヨン通りを歩いていた「私」は奥にある広場のアーケードからポムレー路地へ入り込む。広告代理店のショーウィンドーにあった女装したジプシー男の写真(舞踏二回公演)、獅子頭のついた海泡石のパイプを展示している喫煙用具店、彫像回廊、巴里西班牙貴族(イダルゴ・ド・パリ)の歯科診療所‥‥「私」 は見知らぬ女に誘惑されるように、袋小路の奥にある一軒家に行き着き、螺旋階段で最上階に昇る。扉を施錠した女は部屋の片隅に蹲って啜り泣く。長い角テーブルの上にある褐色の染みで汚れた布切れや錐、針、鋏、ナイフなどの鋼鉄製器具類。赤いクッションの上にいる猫頭豚身のキメラ獣。寝台の間のカーテンから、もう1頭の生物が姿を現わす‥‥《名高い鰐人間の手で認められ、その死後程なく、持ち物の中から発見されたこの手稿は、奇形動物の見世物を引っさげてブルターニュの諸都市を巡業していた、もと遠洋航路の船長あがりの男から私が譲り受けたものである》。皆川博子の『クロコダイル路地』(講談社 2016)はマンディアルグの短篇「ポムレー路地」から着想を得ている。
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- 著者:マンディアルグ(A. Pieyre de Mandiargues)/ 生田 耕作(訳)
- 出版社:白水社
- 発売日:1985/04/01
- メディア:単行本
- 目次:サビーヌ / 満潮 / 仔羊の血 / ポムレー路地 / ビアズレーの墓 / 訳者後記
2020-10-10 00:18
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