山尾悠子と虚ろの王 [books]
「われわれの驚くべき新婚旅行の話」‥‥初秋、「私」と若い妻(トマジ)は〈山の人魚〉と呼ばれた伯母の葬儀に出席するため、高原列車で機械の山の屋敷へ向かう。「旅牛の通過」 で長時間の停車、妻が気に入って購入した模造毛皮の襟巻、駅舎ホテルで目撃した深夜の決闘、〈夜の宮殿〉の降霊会(妻が空中浮揚する最中、バーの天井から吊り下げられたシャンデリアから舞踏靴を履いた女の片脚が垂れ下がり、旅行用スーツに手袋を嵌めた片腕が側面に見えるという描写は岡上淑子のシュールなコラージュを想わせる)、伯母の主宰する舞踏集団〈山の人魚団〉の追悼記念公演〈山の人魚と虚ろの王〉、妻の女代理人、生家の老管理人、伝令の小太り男、剣呑なナイフ遣いの少年、新婚カップル(P夫妻)、シャンデリアの猿、ストラップつきの舞踏靴、旅装姿の若い母(亡者)、舞踏家の片足のデスマスク、機械仕掛けの虚ろの王、大火‥‥「私」の長い夢のような回想がアトランダムに綴られるが、ラスト近くで「列車の事故がありましたの。あなたは重傷を負い、意識不明なのですわ」と妻に明かされる幻想譚『山の人魚と虚ろの王』(国書刊行会 2021)。函入り(A5判 ・150頁)。
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- 著者:山尾 悠子
- 出版社:国書刊行会
- 発売日:2021/02/27
- メディア:単行本(函入りハードカヴァ・A5判)
- 内容紹介:風変わりな若い妻を迎えた男。秋の新婚の旅は 〈夜の宮殿〉その他の街を経て、機械の山へ。舞踏と浮遊 / 夜の芝地を埋め尽くす不眠の観衆たち / 幾つかの寝室と寝台の謎。圧倒的なるイメジャリーに満ちみちた驚異と蠱惑の〈旅〉のものがたり
2021-04-17 00:10
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