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ネコは見ていた [books]

植物学専攻の大学生・仁木雄太郎と音大生悦子(私)兄妹が箱崎医院に間借り下宿することになる。入院患者の失踪、院長夫人の母親と看護婦の殺害‥‥引っ越し先の病院で起こった連続殺人事件を仁木兄妹が解明する。仁木悦子の『猫は知っていた』(ポプラ社 2010)は1957年に発表されたミステリ長編で、作中にラジオ、電話、テープレコーダは登場するが、TV、携帯電話、ヴォイスレコーダーは存在しない。防空壕、太陽灯、張り物(和服の糸を解いて洗濯し、糊付して縫い直す作業)、炭屋、練炭火鉢、国電、ヨジーム・チンキなど、若い読者には説明しないと意味不明の言葉も出て来る。現在とは異なる生活様式や環境には隔世の感があるものの、中・高校生でも読めるジュヴィナイル(Y・A)風の作品で、事件のトリ ックや犯人の動機には普遍性がある。院長の娘(園児)の可愛がっている黒猫チミも不本意ながら重要な役割を担っているけれど、三毛猫ホームズのようにネコが事件を「解決」するわけではない。第3回江戸川乱歩賞受賞作。

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猫は知っていた 仁木兄妹の事件簿

猫は知っていた 仁木兄妹の事件簿

  • 著者:仁木 悦子
  • 出版社:ポプラ社
  • 発売日:2010/03/08
  • メディア:文庫(ポプラ文庫ピュアフル)
  • 目次:プロローグ / 七月四日 土曜日 / 七月五日 日曜日 / 七月六日 月曜日 / 七月七日 火曜日 / 七月八日 水曜日 / 七月九日 木曜日 / エピローグ / 大矢博子 "仁木兄妹の世界" を読み解くキーワード

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