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ゆめこ縮緬 [books]

大正から昭和初期の中州を巡る幻想小説集『ゆめこ縮緬』(集英社 1998)。中州の病院に入院している友人・弓村を見舞いに来た書生・時夫が煙草屋の老人と中年女(嫁)、若い女(珠江)の仁侠沙汰に巻き込まれる「文月の使者」。ある寺の天井画を描く仕事を知人から紹介された絵師が道に迷い那須野の旅宿に泊まり、部屋の板戸越しに女と「玉藻前」の会話を交わす「影つづれ」。ねえや(初江)に連れて行かれた周也が九段招魂社の見世物小屋で見た綱渡り女・桔梗が父の妾だった「桔梗闇」。産婦人科医の家に嫁いだ佳耶と義妹の毬子と会話し、隣家に居候する白系露人ヴァレンシアの奏でるヴァイオリンを聴く「花溶け」。舞踏家(新興流派の家元)の母と千鶴、網元の娘ミツと漁師の子・勝男の現在と過去が交錯する「玉虫抄」。軍人の家に生まれた馨と自裁した異母兄、乳母の実子文乃と娘の千緒が織りなす「胡蝶塚」。大家Nの紹介で富崎玉緒の洋館を訪れた挿絵画家(舟さん)が陸軍士官(長兄)の肖像画を描く「青火童女」。父方の伯父の家(蛇屋)に里子に出されたチャーち ゃん(わたし)が書き溜めた〈お話〉の紙束を庭の焚火に焼べて燃やす「ゆめこ縮緬」。

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ゆめこ縮緬

ゆめこ縮緬

  • 著者:皆川 博子
  • 出版社:KADOKAWA
  • 発売日:2019/09/21
  • メディア:文庫(角川文庫)
  • 目次:文月の使者 / 影つづれ / 桔梗闇 / 花溶け / 玉虫抄 / 胡蝶塚 / 青火童女 / ゆめこ縮緬 / 解説・葉山 響 /「皆川博子には足がない」久世光彦 / 編者改題・日下三蔵

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