犬神家の一族 [comic]
ささやななえこの『獄門島』(小学館 1978)は別コミで読んだ記憶があるけれど、つのだじろうが『犬神家の一族』(講談社 2001)を描いていたとは寡聞にして知らなかった。時代設定を現代に置換したオカルト・ミステリ。原作は敗戦後の荒廃感が色濃いけれど、つのだじろうは「犬神伝説」を裏テーマにすることで、オカルト・ホラー色を強めている。「絶世の美女」と表現される野々宮珠世はホラー映画のヒロイン風、犬神佐兵衛翁の長女・犬神松子は佐清の母親というよりも老婆‥‥さいとうたかを風の劇画タッチなのに、三つ揃いの背広に丸眼鏡の金田一耕助が四頭身でコミカルに描かれているのは意図的なのでしょう。文庫版解説の皆川博子は余りの改変ぶりに閉口したのか、コミック版の内容には一切触れず、「妖美な世界が展開する横溝作品の魅力」 について語った後で、「読みやすい漫画で紹介され、新たな横溝ファンが増えることと思います」 と結んでいる。
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- 著者:つのだじろう / 横溝 正史(原作)
- 出版社:講談社
- 発売日:2001/09/01
- メディア:文庫(講談社漫画文庫)
- 目次:野々宮珠世 / 犬神の血筋 / 仮面の中 / 美女への遺言 / 奉納手形 / 菊 / 芥子 / 犬神族伝説 / 斧 / 犬神魔通里 / 佐清の自白 / 逆転の結末 / 解説・皆川 博子
- 著者:ささや ななえ / 横溝 正史(原作)
- 出版社:小学館
- 発売日:1978/09/20
- メディア:コミック(フラワーコミックス)
- 内容:ささやななえがコミカライズした漫画版(別冊少女コミック昭和52年7月号~10月号連載)。横溝正史と少女漫画、一見不釣り合いな感じですが、ホラー漫画にも秀作の多いささや氏の独特なタッチは、横溝正史の世界観と非常にマッチしていて違和感はありません。それに加えて、女流漫画家ならではの繊細な心理描写が巧みなのです(Muuseo)
2021-09-04 00:15
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