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たのしい暮しの断片 2 [books]

『シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない』(平凡社 2022)は「天然生活」に連載されていた『暮しの断片』(2019)の続篇。木のヘラ、手芸、ロマンスグレイ、甘酒ミルク、肥満、ジンジャーシロップ、通信販売、宿命の女と運命の男、ブランド・ショッピング、トースター、トウモロコシ、杏、花など、日用雑貨から映画、おやつ、猫、家電まで、金井美恵子が日常生活の些細な欠片を記憶によって蒐集する 「小さな暮らしを楽しむための生活情報誌」 という趣旨に最適なエッセイ集である。著者は子供の頃、母親が作ってくれた「おそろいとおさがり」の服から、Aさん家のおばあさんが 「はぎれ細工」(パッチワーク)のように縫い集めて作った手縫いのシャツや上っ張り、姉や兄のおさがり(同じ服)を妹や弟が着ることになることから、「着たきり雀」 という言葉を思い出し、ドイツの現代美術作家ヨーゼフ・ボイスが消費文化を批判した 「ウサギは服を着がえたりしない」 という有名な発言を引いて、ボイスの展覧会が「消費文化の砦」だった西武百貨店内の美術館で開かれたことを皮肉る。姉・金井久美子のアッサンブラージュ(全35点)もカラフルで愉しい。

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シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない たのしい暮しの断片

シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない たのしい暮しの断片

  • 著者:金井 美恵子(文)/ 金井 久美子(絵)
  • 出版社:平凡社
  • 発売日:2022/11/28
  • メディア:単行本
  • 目次:木のヘラが台所に再び参加する / 手芸と手すさび / 白髪交りの思い出 / 季節のおやつ / 肥満と反省 / ジンジャーシロップと甘酒 / 時間のかかる買い物 / ファム・ファタル、オム・ファタル?/ 運命の男、スクリーンの中の、/ 輝く眼と頬 / ユニバーサル・デザインとトースター / 命あっての‥‥ / 家にいるとおきること / 心地よい場所 / スイートコー...

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