大江研のザブローニ博士 [books]
「50年前から、書きたい時は、今もやっぱり「投稿」です」と、『夜になっても遊びつづけろ』(平凡社 2013)の巻末インタヴューで語っているように、高崎女子高時代の金井美恵子(16歳)は「斎木ひみ子」というペンネームで「美術手帖」に投稿していた。どこかで聞いたことのある名前だなぁと思ったら、『日常生活の冒険』(1964)の主人公・斎木斎吉の元妻(卑弥呼)だった。この毒舌作家にしては珍しく、金井は大江の 「セヴンティーン」(1963)をベタ褒めしている(第二部「政治少年死す」は諸般の事情で単行本未収録だったが、『大江健三郎全小説 3』(2018)に初収録された)。「歯医者」 という名前のオレンジ色の縞猫が登場する 「日常生活の冒険」 を携行していたら、ネコ好きの女性と 「大江は良く読んだ。三島よりも大江の方が好きだわ」 という話になり、『芽むしり仔撃ち』(1958)が素晴しいということで意見が一致した。トマス・ピンチョンは 「V.」(1963)を26歳で発表したが、23歳で 「芽むしり仔撃ち」 を書いた大江研のザブローニ博士も凄すぎる。合掌。
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夜になっても遊びつづけろ(金井美恵子エッセイ・コレクション 1)
- 著者:金井 美恵子
- 出版社:平凡社
- 発売日:2013/08/22
- メディア:単行本
- 目次:1967-1973 処女作の頃 / 若者たちは無言のノンを言う / 描くことの始まりに向かって / 8月の光は幻の‥‥ / 政治の季節のなかの青春 / 風化の季節 / そよ風にのって、風に吹かれて / われらが恨みの赤い花一輪を植えよ / 浪曲子守唄 / 私の処女作 / 書いていない時の作家 / ささやかな幸福 / みどり色の馬車 / ネクロフィールの世界──井上洋介画集 / ...
- 著者:大江 健三郎
- 出版社:講談社
- 発売日:2018/07/10
- メディア:単行本
- 収録作品:セヴンティーン / 政治少年死す(「セヴンティーン」第二部)/ 幸福な若いギリアク人 / 不満足 / ヴィリリテ / 善き人間 / 叫び声 / スパルタ教育 / 性的人間 / 大人向き / 敬老週間 / アトミック・エイジの守護神 / ブラジル風のポルトガル語 / 犬の世界
- 著者:大江 健三郎
- 出版社:新潮社
- 発売日:1971/08/27
- メディア:文庫(新潮文庫)
- 内容:たぐい稀なモラリストにして性の修験者斎木犀吉──彼は十八歳でナセル義勇軍に志願したのを手始めに、このおよそ冒険の可能性なき現代をあくまで冒険的に生き、最後は火星の共和国かと思われるほど遠い見知らぬ場所で、不意の自殺を遂げた。二十世紀後半を生きる青年にとって冒険的であるとは、どういうことなのであろうか? 友人の若い小説家が...
- 著者:大江 健三郎
- 出版社:新潮社
- 発売日:1997/08/01
- メディア:文庫(新潮文庫)
- 目次:到着 / 最初の小さな作業 / 襲いかかる疫病と村人の退去 / 閉鎖 / 見棄てられた者の協力 / 愛 / 猟と雪のなかの祭り / 不意の発病と恐慌 / 村人の復帰と兵士の殺害 / 審判と追放 / 解説・平野 謙
2023-04-29 00:25
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