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罪と猫 [books]

『猫と罰』(新潮社 2024)とはドストエフスキーのパロディみたいな表題だが、主人公の黒猫(己)は夏目漱石に飼われていた名無し猫の生まれ変わりらしい。偏屈な性格も 「吾輩」 から引き継がれている。最後の転生(9回目)をした仔猫は不本意ながら古書店 「北斗堂」 で暮らすことになった。先住猫(茶白ルル、三毛キヌ、茶虎カア、白黒チビ)も稲垣足穂など文豪の猫だったことがあるという。猫と会話が出来る店主・北星恵梨香は 「魔女」 と呼ばれていて、古本を仕入れなくても自然に書架に湧く摩訶不思議な書店に囚われていた。自作原稿を北星に読んでもらっていた小説家志望の少女・神崎円が来なくなった。「己」 は後脚で立って前脚の爪でペンを挟んでチェックする夜の在庫整理の仕事をルルから引き継ぐ。久しぶりに現われた円は耳にピアスをした女子高生(高1)に変貌していた。「ごめんなさい。私 ‥‥小説を書くの、やめます」 円の境遇を案じた 「己」 は意を決して北星(魔女)に救いを求めるが、首を横に振られる。北星の真名は 「魁星」という。魔女は人間の書いた物語を蔑み、嫌悪し、唾棄し、見下し、拒絶した咎で、物語を紡ぐことを禁じられた元 「神」 だった。

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猫と罰

猫と罰

  • 著者:宇津木 健太郎
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2024/06/19
  • メディア:単行本(ソフトカヴァ)
  • 内容:吾輩、ニャンと転生!? 漱石の「猫」の続きを描き上げた、もふもふ×ビブリア奇譚!「猫に九生あり」 という。かつて漱石と暮らした黒猫もまた、幾度となく生と死を繰り返し 、ついに最後の命を授かった。過去世での悲惨な記憶から、孤独に生きる道を選んだ黒猫だったが、ある日、自称 "魔女" が営む猫まみれの古書店「北斗堂」へ迷い込む

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