『龍彦親王航海記』（白水社 2019）は「澁澤龍彦の生涯と作品ついて書かれ、語られた膨大な文章」を選択し、時系列に沿って編集配列した「伝記」である。『山尾悠子作品集成』（2000）や『書物の宇宙誌 澁澤龍彦蔵書目録』（2006）を出版した国書刊行会の編集者・礒崎純一はバッハの受難曲を語り繋いで行く〈福音史家〉（エヴァンゲリスト）として振る舞い、自ら朗々と歌う愚は厳に慎しむ。｢狐のだんぶくろ｣ ｢大胯びらき｣ ｢神聖受胎｣ ｢サド復活｣ ｢妖人奇人館｣ ｢ホモ・エロティクス｣ ｢胡桃の中の世界｣ ｢記憶の遠近法｣ ｢魔法のランプ｣ ｢太陽王と月の王｣‥‥の全10章で構成され、各章タイトルは澁澤龍彦（1928-87）の著作名から採られている（『大胯びらき』はコクトーの翻訳書）。「龍彦親王航海記」という書名も『高丘親王航海記』の捩りである。500頁にも及ぶ大著だが、最も多く引用される澁澤龍彦と同じく平易な文章なのでスラスラ読める。詳細目次、主要参考文献、索引付き。
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- 著者：礒崎 純一
- 出版社：白水社
- 発売日：2019/10/31
- メディア：単行本
- 目次：狐のだんぶくろ / 大胯びらき / 神聖受胎 / サド復活 / 妖人奇人館 / ホモ・エロティクス / 胡桃の中の世界 / 記憶の遠近法 / 魔法のランプ / 太陽王と月の王 / あとがき / 詳細目次 / 主要参考文献 / 索引