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プルートゥ [comic]

「史上最大のロボット」(少年 1963)をリメイク(換骨奪胎)した浦沢直樹の 「PLUTO」(小学館 2003-2009)はストーリも複雑で、21世紀版の近未来SFとしてアップデートされている。何よりもアトムではなく、独ロボット刑事ゲジヒトを主人公としたことが秀逸で、なかなか全体像が描かれないプルートゥ(サハド)の内面やゲジヒトの改竄された記憶、アブラ ー博士の正体(ゴジ)、アレクサンダー大統領を操るDr. ルーズベルトの陰謀など、不穏な広がりと仄暗い奥行きのあるSFサスペンス物語になっている。「PLUTO」 は大量破壊兵器を隠し持っているという虚偽に踊らされたイラク戦争をモチーフにしているが、60年前にアラブの大富豪(オイルマネー)に着目した原作者の慧眼には目を瞠る。目下戦場となっているウクライナやパレスチナ、侵攻したロシアや報復するイスラエルに手塚治虫のメッセージは届かなかったのだろうか。アトムとプルートゥのようにロボット同士が戦うというわけでもなく、生身の兵士や一般市民が多数犠牲となっている。暗澹たる気分に陥る。

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PLUTO 001

PLUTO 001

  • 著者:浦沢 直樹
  • 原作:手塚 治虫
  • 出版社:小学館
  • 発売日:2022/10/28
  • メディア:コミック(ビッグコミックス)
  • 目次:モンブランの巻 / ゲジヒトの巻 / ブラウ1589の巻 / ノース2号の巻 / ブランドの巻

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