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地獄の業火 [music]

ギタリスト(Matt Kwasniewski-Kelvin)がメンタルヘルスのために離脱して3人組となったポスト・パンク・バンド、black midiの3rdアルバム《Hellfire》(Rough Trade 2022)はデヴィッド・ラドニック(David Rudnick)の禍禍しいカヴァ・コラージュが死と死後の世界を表徴する。高速フリージャズやプログレ、メタルなどが渾然一体となった目紛しい展開、動と静の激しい落差に戸惑うかもしれない。Cameron Pictonのフラメンコ〈Eat Men Eat〉やCaetano Veloso風のトロピカリア~マリアッチ〈Still〉もあるが、クルト・ヴァイルの三文オペラやラスベガス・ショーの衣装を纏ったGeordie Greepの激情型ヴォーカルはパンクだ。ギターに代わって参加したKaidi Akinnibi(サックス)とSeth Evans(キーボード)が狂った世界に拍車を駆ける。「壮大なアクション映画」(an epic action film)に準えた「地獄の業火」はコロナ・ウイルス(COVID-19)が蔓延し、ウクライナ戦争に蹂躙された「現実」そのものの戯画ではないかと思わせる。全10曲・39分。三面デジパック仕様、歌詞ブックレット(24頁)付き。

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Hellfire

Hellfire

  • Label: Rough Trade
  • Date: 2022/07/15
  • Media: Audio CD
  • Songs: Hellfire / Sugar/Tzu / Eat Men Eat / Welcome To Hell / Still / Half Time / The Race Is About To Begin / Dangerous Liaisons / The Defence / 27 Questions

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