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薔薇色の脚の乙女 [books]

『新編 夢の棲む街』(ステュディオ・パラボリカ 2022)は処女作 「夢の棲む街」(SFマガジン 1976)と新作短篇2作品に、川野芽生の解説「薔薇色の、言葉と肉」を添え、中川多理の新作人形(11頁)で飾られた瀟洒な短篇集。〈夢喰い虫〉のバクが円形劇場の崩壊に巻き込まれる 「夢の棲む街」 を作者と思しき女性が40数年ぶりに再訪する 「漏斗と螺旋」(群像 2020)、中川多理の「薔薇色の脚」展に寄せた 「薔薇色の脚のオード」(パラボリカ・ビス 2020)によって、主人公のバクではなく、薔薇色の脚の少女たちにスポットライトが当たる。踊り子人形の「女性器の割れ目を備えた薔薇色の脚」に衝撃を受けた山尾悠子は「〈薔薇色の脚〉の発想元はハンス・ベルメールの球体関節人形であったことを思い出せば(あれには女性器がある)、この度の多理さんの造形は当然のことであり、本来あるべき姿を取り戻しただけと言えるかもしれない」と後記に書いている。ピンクの箱入り娘は黒い衣装(装幀)を身に纏った薔薇色の肉体(本文)として糸綴じされている。四六判函入・128頁。

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新編 夢の棲む街

新編 夢の棲む街

  • 著者:山尾 悠子
  • 出版社:ステュディオ・パラボリカ
  • 発売日:2022/03/18
  • メディア:単行本
  • 目次:薔薇色の足のオード / 夢の棲む街 / 漏斗と螺旋 / 薔薇色の、言葉と肉(川野芽生)/『新編 夢の棲む街』後記


夢の棲む街

夢の棲む街

  • 著者:山尾 悠子
  • 出版社:早川書房
  • 発売日:2022/05/22
  • メディア:文庫(ハヤカワ文庫JA)
  • 目次:夢の棲む街 / 月蝕 / ムーンゲイト / 遠近法 / シメールの領地 / ファンタジア領 / 解説・荒巻義雄

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