囚人エドワード [books]
『インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー』(早川書房 2021)は18世紀ロンドンを舞台にした『開かせていただき光栄です』(2011)を端緒とするバートンズ・シリーズの最終作。続編『アルモニカ・ディアボリカ』(2013)のラストで新大陸に渡ったエドワード・ターナーはアシュリー・アーデン(先住民族モホーク)の殺害容疑でコロニーの監獄に投じられていた。殺人の理由を訊くようにモーリス・ウィルソン(アシュリーの友人)から依頼されたロデリック・フェアマン(NYニューズレター記者)が囚人エドと面会する冒頭のシーンは『羊たちの沈黙』(1988)を想わせなくもない。レクター博士はクラリスに意味ありげなヒントを示唆するだけだが、エドワードは当事者である。ロディ(俺)が独房のエドにインタヴューする 「調査」と、英国増援軍の補給隊隊員となったエドとクラレンス・スプナ ーたちが遭遇する一連の怪事件をアシュリー(私)が語る「犯行」の2つの章が交互に挿み込まれる構成。アシュリーが遺した「手記」の異変を読み解くことで、エドとロディが独立戦争中に起こった大陸軍スパイの陰謀を暴く。「安楽椅子探偵」 が囚人という異色ミステリ。
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- 著者:皆川 博子
- 出版社:早川書房
- 発売日:2021/06/16
- メディア:単行本(ハヤカワ・ミステリワールド)
- 内容:18世紀、独立戦争中のアメリカ。記者ロディは投獄された英国兵エドワード・ターナーを訪ねた。なぜ植民地開拓者(コロニスト)と先住民族(モホーク)の息子アシュリーを殺したのか訊くために。残されたアシュリーの手記の異変に気づいた囚人エドは、追及される立場から一転、驚くべき推理を始める。それは部隊で続く不審死やスパイの存在、さ...
2021-07-31 00:22
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