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ネコ・ロマンチスム [cats]

『ネコ・ロマンチスム』(青銅社 1983)に内田百閒の「ネコロマンチシズム」を追加した増補文庫版(中央公論新社 2022)。全13篇中、星新一のショート・ショート 「ネコ」、小松左京の近未来デストピア 「猫の首」、萩原朔太郎の白日夢ファンタジー「猫町」は他のネコ・アンソロジーに収録されたことのあるネコ名作。冒頭の梶井基次郎 「愛撫」、倉橋由美子 「恋人同士」、金井美恵子 「海のスフィンクス」 の並び、前半の宮沢賢治 「猫の事務所」、別役実 「猫貸し屋」、後半の芥川龍之介 「お富の貞操」、谷崎潤一郎 「ドリス」、吉田知子 「猫」 など、39年前に編まれたとは思えないほど、編者・吉行淳之介の慧眼が光っている。「猫貸し屋」 はNHKの幼児番組「おはなしこんにちは」に書き下ろした不条理童話で、うら若い田島令子が朗読していた。「ドリス」 は米映画女優P嬢から友人のAを介して譲り受けた波斯猫ドリスを溺愛する彼が亜米利加の雑誌広告や倫敦から取り寄せた「家庭的愛玩猫」から延々と引用する異色作。「猫踏んじゃった」 を実妹(吉行理恵)の作品に差し替えれば完璧だったかも?

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ネコ・ロマンチスム

ネコ・ロマンチスム

  • 編者:吉行 淳之介
  • 出版社:中央公論新社
  • 発売日:2022/04/20
  • メディア:文庫(中公文庫 よ 17-17)
  • 目次:愛撫 / 恋人同士 / 海のスフィンクス / ネコ / 猫の事務所 / 猫貸し屋 / 猫の首 / お富の貞操 / ドリス / 猫 / 猫町 / 猫踏んじゃった / ネコロマンチシズム / 解説・福永 信

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